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幸村の部屋を退出した後、佐助は自分の庭のように政宗の城を歩き回っていた。
流石に姿を見られたら面倒なので、気配を隠しつつ廊下や天井を移動する。
しかし流石は伊達の家臣。
「おっかねぇなぁー
一筋縄じゃいかねぇしさ」
いくら気配を消そうが、息を殺そうが、忍びである彼に気付く者はいた。
ある者は首を傾げただけだったが、ある者は刀や短刀を投擲したりなど、妙に鋭い。
「なんなんだろうねぇ、あの政宗様は、さ。
家臣も秀でて強そうには見えないけど…」
そんなことをつらつらと思いつつ。
とりあえず。
「…なんかちっこいのに捕まっちゃうしネ」
今は幼子に上から見上げられていた。
えぇ、それはもう純粋な瞳で。
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