筋肉ババア

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 都市伝説。それは簡単に言えば、嘘と真が入り乱れた噂話全体を指す名称だと俺は考える。UFOやUMAに、食品や有名チェーン店のあらぬ話。妙に信憑性のある歴史の話から、くだらない芸能界の噂までそのバリエーションは様々だ。  中でも頭一つ抜け出て目立つのは、妖怪や幽霊に関する内容である。学校の七不思議で有名なトイレの花子さんや、かつて一斉を風靡した口裂け女は、怪奇系都市伝説の有名な例である。  噂話から数多く生み出された妖怪の中でも、一際種類が多いのが老婆をモデルにしたものだ。失礼な話、年老いた老人の姿は確かにどこか妖怪染みているように思える。例を上げるならば、スピードを出す車を桁外れの速度で追い越すターボババア。学校のトイレに現れ、人の肝臓を抜き取る紫ババア。名称が変わっただけのようなものも含めると、他にも三時ババア、四次元ババア、ジャンピングババア、百キロババア、一寸ババア、肘駆けババア、足売りババア等々、軽く例を上げた程度でもこれほどの数がある。ババアのオンパレードだ。  とまぁ長々と自慢げに語らせてもらった訳だが、今話した内容は恥ずかしながら全て友人の受け売りなのだ。オカルト好きな俺の友達、八村(やつむら)の。今からお話するのは、俺と八村が華麗にババア妖怪を滅する爽快バトルストーリー……ではなく、地元に生まれた風変わりなババア系都市伝説を探ろうとする俺たちの、しょーもない青春の一ページである。
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