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「あー、圭じゃん! 久しぶりぃ」
不意に背後から名前を呼ばれ、振り返った。
咄嗟の判断で、顔に笑顔を貼り付ける。
「おう、久しぶり」
視界に捉えたのは、スカートをこれでもかと言うくらいに短くした、いわゆる今時の女子高生。
はっきり言おう。
誰だ、こいつは?
基本的に俺は、こういった人種が嫌いだ。
どうやらこの女にとって俺は友人か知り合いの部類に入っているらしいが、残念なことに俺は名前すら覚えていない。
まぁ、こういったことは割と日常茶飯事なので、とりあえず笑顔でやり過ごすことにする。
俺がそんなことを考えているとは思ってもみないのだろう、ブリーチで傷みまくった茶色の髪を、指先でくるくるといじりながら、彼女はにこにこ顔で俺に話しかけてくる。
「何してんのー?」
「ちょっと、探し物をな」
そっけなく、なおかつ曖昧に応えたが、どうやらこの女は興味を示してしまったらしい。
面倒くさいことこの上ない。
「えー。何探してんのー? 探すの手伝ってあげよっかぁ?」
言いながら、さりげなく俺の腕に自分の手を絡めてきた。
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