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そんな思考を表情には出さず、しれっとして「さぁ?」と答えれば、莉粋は更に問い詰めてきた。
「“さぁ?”って、何だよッ」
どうやら相当頭にきているみたいだ。ちゃんと納得のいく説明をするまでは、離してくれそうにもない。
だから俺は仕方なく、正直に話すことにした。
「仕方ないだろ、名前知らねぇんだから。向こうは俺のこと知ってるみたいだったけどな」
そう言えば、莉粋は「え?」と小さく零し、ぽかんとした顔をする。
そうして、冷静さを取り戻したのか、みるみるうちに顔が赤く染まっていった。
それを見て、ようやく俺は気付く。
ああ、そうか。
これがいわゆる、“やきもち”ってヤツか。
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