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種がわかってしまえば、何だか笑いが込み上げてきて、くすくす笑い始めた俺に莉粋はますます顔を赤らめながらも声を荒げた。
「なに笑ってんの!」
最早迫力も何もあったもんじゃない。
きゃんきゃん騒ぐ子犬みたいだ。
だから俺は笑うのを止めて、わざと真剣な声と表情で言ってやった。
「悪いけど、俺はお前以外の誰かになんて興味ねぇし、お前以外は見えてねぇよ」
一瞬、意味がわからなかったのか莉粋は硬直したが、すぐに顔が噴火した。
言い返す言葉も見つけられないのか、悔しそうに唇を噛んで下を向く。
そんな莉粋の様子を得意げに見下ろしていた俺だったが、突然伸びてきた莉粋の細い手に胸ぐらを掴まれ、ぐいと手前に引かれてバランスを崩した。
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