Page.3 「逆効果」

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    「う……わッ!?」  直後、唇に感じたのは柔らかい感触で、莉粋に唇を奪われたのだと気付く。  が、驚いたのも束の間、今度は口の端にピリリとした痛みが走った。 「痛……ッ」  呆気に取られているうちに莉粋はもう俺から離れていて、そのまま踵を返して走り出す。  数歩先で振り返ったかと思えば、べっと舌を出して。 「……け、圭が悪いんだからね!!」  上気させた顔のままで言い放ち、そのまま走り去ってしまった。  後に残された俺はしばらく呆然とするが、すぐにふっと笑みがこぼれる。 「……ああ、もう。逆効果だっつの」  呟きながら、俺は親指の腹で噛まれた口の端をすっと撫でた。  その後、闇雲に走り回ったあげく、またもや迷子になってしまった莉粋を俺が探しに行ったのは、言うまでもない。 .
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