Page.4 「Bitter or Sweet」

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    「それにしても、来るなら連絡くらい入れろよな。行き違いになったらどうすんだ」  隣に座りながら、目線だけこちらに向けて言ってくる彼。  その仕草が流し目っぽくなっていて、どきりとした僕は思わず視線をそらしながら答えた。 「ケータイ……無くしたから」  これは事実。  これで道に迷ったりしたら、彼に電話もできないし、本当に家に帰れなくなるんだろうなとか考えたら、僕ってある意味かなりのケータイ依存だ。 「ふーん……」  興味なさそうに相づちを打ちながら、ズズッとコーヒーをすする。  ちなみに彼のはブラックだ。  よくあんな苦いだけのものが飲めるなぁ、とか考えてたら、彼は不意にカップをテーブルにコトリと置いた。 「……で? 今日の莉粋君は、どうしてそんなにそわそわしてるのかな?」  流石だと思った。鋭い。  彼はにやりと笑いながら、僕の顔を覗き込んでくる。 「そ、それは……」  頬が熱くなるのを感じて、僕はあさっての方向を向いた。  こんな顔を見られるわけにはいかない。  だけどそんな時、視界の端にある物が映った。 .
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