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「……それより、お前何でそんな偉そうなんだよ」
冷たい口調で言いながら、それでも玄関へ向かう。
受話器から、拗ねたような口調が聞こえてきた。
『もう五月蠅いよ。来てくれないなら他の人呼ぶから』
他に呼べるヤツなんていないくせに。あんま強がってると、俺にまで愛想尽かされても知らねぇぞ。
……まぁ、そんなことあり得ないんだけど。
「何が見える?」
履き慣れたスニーカーを靴箱から取り出した。走るときはこれに限る。
『……赤い大きな看板。白い文字で“――――”って書いてある』
「ん、だいたい判った。動くなよ」
返事は聞かず、電話を切った。
俺が行くまでは大人しくじっとしているのが、こいつの唯一の賢明なところだ。
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