Page.1 「迷子」

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    「……それより、お前何でそんな偉そうなんだよ」  冷たい口調で言いながら、それでも玄関へ向かう。  受話器から、拗ねたような口調が聞こえてきた。 『もう五月蠅いよ。来てくれないなら他の人呼ぶから』  他に呼べるヤツなんていないくせに。あんま強がってると、俺にまで愛想尽かされても知らねぇぞ。  ……まぁ、そんなことあり得ないんだけど。 「何が見える?」  履き慣れたスニーカーを靴箱から取り出した。走るときはこれに限る。 『……赤い大きな看板。白い文字で“――――”って書いてある』 「ん、だいたい判った。動くなよ」  返事は聞かず、電話を切った。  俺が行くまでは大人しくじっとしているのが、こいつの唯一の賢明なところだ。 .
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