2459人が本棚に入れています
本棚に追加
「……それは困るな」
ぽつりと呟いた言葉に、返事が返ってくる。
僕はびっくりして飛び起きた。
「圭!?」
視界に、腕組みをして扉に寄りかかる、彼の姿が飛び込んでくる。
学校帰りなのだろう、制服姿の彼は困った顔をした。
「お前がいないと、学校なんてつまらなくて仕方がないんだけど?」
普段の彼は、あまり感情をストレートに言葉にしない。素直に、嬉しいと思った。
だけど、それなら何で……。
「何で、来てくれなかったの」
上目遣いに軽く睨む。
すると彼は、あからさまに不機嫌そうな顔をした。
「は? うつったら困るから来んな、ってメールしてきたのはお前だろ?」
それを言われてしまったら、反論できない。
確かにそうメールしたよ?
だってテスト期間中だし、年に何度もお見舞いに来てもらうのも悪いし、わがまま言って愛想尽かされるなんてまっぴらごめんだし。
……だけど、本当は来て欲しかったのに。
.
最初のコメントを投稿しよう!