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今からすっごいありきたりな説明するから聞いてくれ。 母親が再婚した。 義理の父となる人にも連れ子が居るらしい。 連れ子つっても25歳の男らしいからオレのお兄さんってのになる。 あ、オレは18歳の高校生。 母親と義父は今日から二週間かけてヨーロッパ一周の新婚旅行に行くらしい。 今まで母親と二人暮しだったマンションは今日引き払われて、 新しい家族となる義父の家が今日からオレの住む場所になる予定だ。 …親達が居ない今日からオレとまだ見ぬお兄さんってので約二週間、2人暮らし状態になる。 ほら、なんかよくある話だろ。 そんなんでちょいアンニュイ中。 「りんちゃん、今日のどことなくアンニュイな雰囲気もいいね」 カシャカシャと鳴るシャッター音にハッと我にかえる。 そういえば雑誌の撮影中だった。 オレはなんとなーくモデルをやってる。 もうマジなんとなく。 街歩いてたら綺麗な姉ちゃんにスカウトされてゴリ押しされてやり始めた感じ。 今ではその綺麗な姉ちゃんは鬼マネージャー。 「ちぃちー。聞いてよ、オレにお兄ちゃん出来たんだよ」 「何それ。イケメン?」 「しらね」 ちぃちーはカメラマン。 顔もスタイルもそこそこ。 カメラの腕は抜群だしノリもいい。 「りんちゃんの兄ちゃんならイケメンじゃないと」 「野郎なら顔どーでもいい。綺麗な姉ちゃんがよかったのに!」 「…どうでもよくないだろ。面食いの癖に」 喋りながらもシャッターは止まない。 オレもそろそろやる気を出すか、と姿勢を正すとちぃちーも目付きが変わる。 つまりちぃちーもやる気を出したってこと。 エンジンかかるのが遅いオレでごめんね。 今してる撮影は女性誌の表紙に使われる予定のもの。 ピン表紙ならカメラ目線は必須。 本屋で雑誌見てみろよ。カメラ目線じゃないやつ、殆どねぇだろ? よそ見してんのとカメラ目線のとじゃ売上にすっげぇ差出るんだってさ。
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