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「まだ兄ちゃんに会ったことないの?」 「ん。この後初めて会う。んで、そのまま一緒に住む」 「超展開だな」 だろ!? 家族の顔合わせ会みたいな日に泊まりでのロケで不在にしたオレも悪いけど。 いや、大体再婚の話を聞いたのも1週間とちょい前だ。 時間が圧倒的に用意されてない。 お疲れ様でしたー、の声が掛けられて今日の撮影は終了。 この後はお兄ちゃんと初対面、新居に初上陸。 待ち合わせ場所である駅へとマネージャーに車で送って貰う。 そこでもオレは絶賛アンニュイだ。 「ねー。オレ、相手のこと何て呼んだらいいと思う?」 「名前でいいんじゃない?」 「じゃあ桃谷さんか」 「昨日からアンタも桃谷さんでしょうが」 そうだった。 オレも旧姓早川から桃谷になったんだった。 桃谷鈴が昨日からのオレの名前。 鈴と書いて‘りん’…愛称はりんりんやりんちゃんだ。 親しみやすいっしょ? 「下の名前、聞いたけど忘れちった」 「…お兄様になる人の名前ぐらいは覚えなさいよ」 オレの物覚えの悪さをよく知る鬼マネージャーですら呆れたようだ。 そりゃ…オレも出来るなら忘れたくなかったけどさ。 「アンタがお兄様の名前すら知らなくてもお兄様は鈴を知ってるのって何か変な感じよね」 「え、何でオレのこと知ってんの?」
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