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「こんだけ私が仕事させてんのよ。知らない方がおかしいでしょ?」 車に付いてたテレビから流れたCMにはちょうどオレが出てる。 信号待ちで止まった車から見えるビルの大きな一面広告もオレだった。 「…向こうがオレ知ってるとかきまずい」 「自己紹介する手間省けてよかったって思いなさい」 最初は雑誌の仕事だけだったのに最近ではモデルって肩書きでCM出たりバラエティー出たりもしてんの。鬼マネージャーは敏腕だ。 なんとなーくやってるオレがこだわりないのを知ってる分だけ色んな事をさせる。 「今夜もブログはちゃんと更新するのよ」 「…はーい」 日課になりつつあるブログも仕事。ブログとかを運営してるサイトの会社と事務所が契約したからオレもブロガーになった。書かないとアクセス数に影響が出るっつーんで毎回こう釘を刺される。 到着した駅でぽいっと下ろされて…オレは携帯を取り出した。 待ち合わせ時間より少し早い。 あー…もう。緊張よりも憂鬱が勝ってるんだけど。 どうしよう、まだ見ぬお兄ちゃん。 オレ帰ってもいい? いや、帰るとこないけど。 駅のすぐ前にあるやたらデカいけどそこそこお洒落なビルの前が待ち合わせ場所。 人通りはまばら。 近くにテレビ局があるから何度か来たことあるけど大人の街って感じでどうもオレには馴染めない。 今から来るのがせめてお姉ちゃんならよかったのに。
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