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父から出た再婚という言葉に然したる興味もなく。ただ、弟になる人物と一緒に住んで欲しいと言われた時には眉を顰めた。 「何故、僕が?」 「弟になる鈴くんはまだ高校生なんだよ」 「まだ高校生と思うなら親が然るべく責任を取ればいい」 「海外事業部の強化に向けて美希さんと私はニューヨークに住もうと思ってる。鈴くんを連れていきたいのは山々だが…彼は仕事があってね、連れていける状態ではないんだ」 「…まだ高校生と言ったかと思えば仕事がある、ですか」 「ああ、まだ言ってなかったね。鈴くんはモデルをしている。見たことあるんじゃないかな……この子だよ」 普段は仕事の書類しか入っていないだろう革の鞄から取り出されたのはあるブランドの新作を知らせる冊子。すっかり色惚けしているようで。その不似合いさに思わず笑うも、それに構わず父の指は濃いメイクの女モデルに寄り掛る作り物めいた青年を指差した。 「綺麗な子だろう?」 得意気な父から冊子を受け取る。表紙を捲ると更に色々な表情の彼が居た。確かにこの子は綺麗だ。 でもそれ以外にも驚いたことがある。 何故なら一度、この子を見掛けたことがある。まさかモデルになっていて、弟になるとは。 面白い。 「……いいですよ、一緒に住んでも。その代わり保護者として彼の事は全て僕に任せて下さい」 これなら僕も楽しめる。 後に会った美希さん…義母になる人物もあっさりと僕に彼の全てを任せた。 兄という立場で人1人を手に入れるのも悪くない。
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