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バスを降りたと同時に
冷たい雨がポツリポツリと降ってきた。
いや、元から降っていたのかもしれない。
バスの中は明るく、
窓の外は建物のライトで眩しい。
おまけに下を向いて携帯を扱っていれば、
目の錯覚で雨が降っていても分からないだろう。
空は青黒く淀んでいる。
だから尚更、周りの灯りが眩しい。
ふと今の自分を振り返ってみる。
僕は今幸せなのだろうか。
いや、幸せなんだ。
幸せなんだけれど…。
この幸せという細い糸が、
急に切れてしまったら、
僕はどうなってしまうのだろう。
僕たちのこの関係も、
もう終わってしまうのかな。
そんな不安で
いつも破局寸前の崖の上に立たされる。
あなたとのこの距離が愛しい。
誰よりも近くにいるようで、
実際は誰よりも遠い存在。
同じ空の下にいるからって。
いつも繋がっているからって。
そう思っても、
あなたの温もりを感じる事ができない。
優しい声を聞く事もできない。
より切なくなる自分が情けなく思う。
→
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