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ふと携帯から目を離す。 辺り一面真っ暗だった。 空は透き通ったような空ではなく、 薄めていない真っ黒なペンキを 空一面に塗ったような、そんな空だった。 キラキラ光る星なんか、一つも出ちゃいない。 そのかわりといってはなんだが、今日は満月だ。 真っ黒な雲に覆われても、 ただひたすら光り続ける。 誰かを見つめているのだろうか。 僕もそうでありたいと思う。 他人に何て言われようと、 どう思われようと、 ただひたすら想う人を照らしてあげたい。 側にいてくれる人の支えになりたい。 ただそれだけでいいんだ。 真っ暗な夜道を歩いてはそう思う。 自然と耳に入ってくる虫の声。 何て言っているのだろう。 告白とかしてんのかな。 それとも門限破って、お説教されてるのかな。 そう考えてると歩む足が止まった。 どうせ帰っても、 ただただ自分の不機嫌な心をぶつけられるだけだ。 僕が帰るといつもこうだ。 自分の機嫌が悪いからって、 帰ってきたすぐの僕をいい餌に、 容赦なく降り注ぐ悪の嵐。 普段なら何もないことを深く追求してくる。 なんて惨めなんだろう。 一度でいいから思いっきり反抗してみたい。 でも僕は弱い人間。 反抗する勇気さえなければ、 門限を破る勇気さえない。 表だけは強い振りをしていても、実際は裏が本心なのかもしれない。 でも、あなたと出会えて 僕は少し大人になれたような気がするよ。 今まで見ていた青空も より青く感じるようになったんだ。 周りにどんなに言われようと、 どう思われようと、 あなたに会えるってだけで頑張れた。 僕はとても単純な奴なんだ。 あなたが僕をどう思おうと、 僕はあなたが好きなんだ。 できるならあなたの一番の理解者になりたい。 ちょっとの変化も気付いてあげられるような…、 そんな身近な存在になりたい。 そう思うのは僕だけでもいいんだ。 ただあなたが幸せな人生を歩めるのなら。 あなたは今幸せですか。 無理して笑顔を作っていませんか。 誰かに気を使ってませんか。 あなたが心から笑っていられるのなら、 僕は他に何もいらない。 そう心に決めた、真夜中の帰り道…。 _
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