第三章

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俺が急いで向かった風紀室はいつもにもまして空気が冷たかった。 はい、この時点でお気づきの方、流石です。 そうです、俺、風紀委員です。 「すみません、遅れました」 俺が申し訳なさそうに、しかししっかりと頭を下げて謝れば風紀委員長の鷲見 静華(すみ しずか)先輩が思いっきり俺の頭を叩いた。 「……っっ‥」 頭全体に響く痛みに思わず頭を抱えて踞る俺。 「あれは、いたい‥」 誰かが一言そう呟くのが聞こえた。 そして今さっき俺の頭を叩いた鷲見先輩はご機嫌斜めのようで、眉をよせながら、踞っている俺の目の前に腰を降ろした。 俺はといえば、あまりの痛さに顔を上げる事が出来ず、さっきからただ床の一転だけを見つめている。 「ったく、誰が遅れて来ていいっつった?」 いつもより少し低めの声が聞こえて、俺の顔は先輩の手によって強制的に上を向かされた。 顎に手を添えられて動けない俺は、両手で頭を抱え、涙目で、数センチしか離れていない先輩の顔を睨む。 端から見たらどんな光景なのだろうか? こんな面白そうな光景にいつも傍観者ではいられない俺は小さく息を吐いた。  
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