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「愛雫華、今まで何してたんだ?あ゛?委員会はじまってっから何分たってると思ってんだよ!」
俺は機嫌の悪い鷲見先輩を正面に「まだ5分も経ってないです!」とはいえなくて、取り合えず「すみません」と謝っておいた。
周りは勿論傍観体制。
風紀(ここ)には鷲見先輩が不機嫌な時に、俺の肩を持とうなんて言う、心優しい命知らずはいない。
いつもちょっかいを出したり、おちゃらけたりして、場の空気を柔らかく(というか引っ掻きまわしているだけだが)している先輩は今日にかぎって居なかった。
「‥静華も心配だったのは分かるが落ち着け」
助けが無いとわかり少し後ろめいた空気を背負った俺に救いの手を差しのべたのは副委員長の三谷 慎司(みたに しんじ)先輩だった。
そして迫っていた鷲見先輩が段々と離れていく。
あぁ、俺にもやっと光が差したみたいだ。
「で、何でおくれたんだ?」
光を見るような目で先輩を見上げた俺。
にっこりと笑う先輩。
滲み出るオーラ。
鷲掴みされた頭。
…前言撤回をしよう。
‥俺には光も、救いの手も、なにもなかった――‥。
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