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「はぁはぁ…」
男は息を荒げ、走っていた。
辺りは炎で包まれ、人々が逃げ惑っている。
炎の熱と疲労により、額より汗が吹き出している。
男は額の汗を乱暴に拭うと後ろを振り返った。
「ここまで来れば大丈夫だろ…」
男は手をかざし詠唱を始めた。
『我が身に宿りし光の使者よ。今こそ我が力となり闇を切り裂け』
詠唱が終わると同時にかざした手には光が集まりだし、剣が握られていた。
「さぁ、出てこいよ…相手をしてやる!」
「クククッ…鬼ごっこは終わりかな?」
突然なにもない場所から声がし、男の目の前の空間が歪みはじめた。
歪みは人の形となり、その場所には漆黒のマントを羽織った男が現れた。
漆黒の短髪に黄色い瞳。左の頬には髑髏の入れ墨がある。
「貴様はここで食い止める!」
男は言い終わると同時に剣を振りかざし入れ墨の男に切り掛かった。
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