一章・そして彼女はグレた

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 若い頃のあいつにそっくりだ―― グラハムの父、ラムソンとベルツは、やはり親友同士であった。  家同士の仲等全く関係なく、二人は信頼し合い、まるで両家の始祖が乗り移ったかの様、とまで言われたほどだ。  四年前のジレドロイ要塞が舞台となったジレドロイ戦役においてラムソンが戦死してから、ベルツは生涯駆け抜けてきた戦場から遠ざかった。  二度と戦場になんて行くものか、と固く決意した。  ベルツは、何故だかグラハムの後ろ姿から、そんな昔のことを連想したのであった。
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