一章・そして彼女はグレた

7/11
前へ
/21ページ
次へ
 グラハムはドアから出るとあまりの眩しさに目を細めてしまった。 小高い丘に建てられたランディール男爵屋敷は一面に広がるメライフ湖を一望することが出来る。  だいぶ目の慣れてきたグラハムは目を見開き、彼女の姿を捉えた。  それはまさに、天女が如く。 ひたすらに広がる青空に広がる雲の切れ間から光のカーテンをおろし、まるで大海の如く向こう岸の見えない湖に、太陽が映り、心までを清々しくさせてしまうほど圧巻な光景に、彼女は佇んでいた。  腰まで伸ばした金色の髪は春風に身を委ね、思い思いに揺れている。 汚れ一つ無い真っ白なドレスをここまで自然に着こなした女性を、グラハムは生涯一度も 目にしたことがなかった。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加