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「あーあ、やっとうざいじじいが消え失せた。ほーんとせいせいしたー」
グラハムは勢いよく振り返った。まったく予期せぬ声が、今まで清楚で可憐な少女だと思っていた彼女から発せられたと信じられなかったからである。
「しっかし、あんたも良くあいつの相手できるよねー。本気でそんけーするわ。あっはっは、何その顔、鳩が豆鉄砲食らった様な顔して超ウケるー」
グラハムはしばらくその場を離れることが出来なかった。
時間という時間がフリーズし、彼を取り巻く空気が一気に凍った様な気がした。
「まさかあんた、あたしが本気でお行儀良いお嬢様みたいなのだと思ってたワケ? それ超終わってない? ホント、貴族ってどいつもこいつも能なしなんだから」
「あたし超お腹すいたー、ねえ今日のディナー何? 魚とか言ったらガチでキレるよ? ねー、あんた聞いてる? もしもーし、起きてますぅ?」
少女は言いたいことを言い終わって、すっきりしたのか屋敷へと戻っていった。
固まったままのグラハム・フォン・ランディール男爵を残して……。
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