二章・グレる彼女の一日

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「……なにがなんだか判らない」  茫然と立ち尽くすグラハムにルエットはぼそりと耳打ちした。 「しばしお待ちください、彼女、何かあります」 「……は?」  ルエットは何か背中に異様なオーラを纏い、屋敷へと歩いていく。 まったく見たことのないメイド長の姿にグラハムはそれにも驚いていた。 ※  広い食堂に咀嚼音だけが聞こえる……いつものランディール家ならばそれが日常だったが、今日は皿とスプーンの当たる音が乱雑に鳴り響く。  ガチャガチャと山羊の肉を掻き込むフランディルケを横目で見やるグラハムと、先程からずっと異様な雰囲気を漂わせ佇むルエットと。  とにかくこのランディール家の食堂がこんなにも殺伐としているのはおそらく、この日が初めてであろう。 「茶を」  フランディルケを気にしつつもあくまでクールを装おうグラハムだったが、その眉間はひくひくと痙攣し、まったく持って食事に集中できてない。 「かしこまりました」  お茶を注ぐルエットも同じ様にフランディルケを気にしてはいるが、グラハムの怒りの視線とはまた違った眼差しを向けていてた。 「なにこれーほくほくしてる」  一方二人を気にせずに、ひたすら飯を食べ続けるフランディルケ。
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