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けれどその紅は直ぐに瞼の中へと姿を隠した。ハッとしてその人に近寄る。
「大丈夫ですか!?」
返事は無い。恐る恐る触れてみると、体が冷えきっている。
もう一度その人を見つめる。
片手に銃を握りしめ、腹部からは血も流れている。
どう考えても危険な存在。関わらないほうがいいに決まってる。
でも…
「ニャー」
足元では心配そうに見上げる子猫。私は子猫に微笑みかけた。
「この人がお前のご主人様?大丈夫。助けるからね。だからちょっと待ってて?」
私は元来た道を走り出した。
関わらないほうがいい。それは分かってる。でも…
あの紅に囚われてしまったから…
私はラクシュを連れて元の場所へと戻ってきた。子猫もその人も同じ体勢で待っていた。
「この人を私の家に運ぶの手伝って!」
「はぁ!?マジかよ!こんな危なそうな奴ほっとけよ!」
ラクシュの言う事はもっともかもしれない。私を心配して言ってくれてるのだという事も分かる。でも、これは譲れない。
「運んで」
「…俺の家じゃ駄目なのか?」
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