6人が本棚に入れています
本棚に追加
私は黙って頷いた。見るからに怪しいこの人を助けたいのは私のエゴ。だからラクシュの家族たちに迷惑はかけられない。
ラクシュはハァとため息をついた。
「…本当、昔っから言いだしたら聞かないんだもんな。こんな危なそうな奴を。まぁ怪我してるし…。
分かったよ。セシアの家に運ぶな」
「ありがとう」
それからは急いで事を進めた。
家に着いてからお医者様を呼びに行って、手当てしてもらって着替えさせて…
一段落ついた頃には、もう空が白んできていた。いつの間にかあの激しい雨も通り過ぎていた。
「ごめんねラクシュ。こんな時間迄付き合わせて…。今日も学校なんだよね?」
今更ながら凄く申し訳ない気持ちになり、ラクシュに謝った。けれどラクシュは微笑みを返してくれた。
「バーカ。徹夜とかよくするから気にすんな。授業中に寝ればいいんだし」
「…それは駄目じゃない」
私達は顔を見合わせて笑った。
最初のコメントを投稿しよう!