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いつの間にか私も彼のベッドに頭を預けて寝てしまっていたようで、子猫の声で目が覚めた。
「ごめんね。私寝ちゃってたみたいだね。お腹が空いたの?」
それに答えるようにニャーっと泣いた。
「お前は賢いね。じゃあ下に下りてご飯にしようか」
子猫を優しく撫でて椅子から立ち上がり、彼に背を向けてドアへと向かった。
ドアを開けようとした時、後ろからギシッと音がした。振り向いてみると、彼が身体を起こしていた。
起き上がった彼は、歳は20代後半ぐらいで、髪は瞳とは違う朱色といった感じだ。
「目が覚めたんですか?」
「来るなっ!」
私が近づこうとすると、彼は大声で怒鳴った。凄い目で睨みながら、片手は何かを探している。しかし大声が傷に響いたのか、少しだけど苦痛に顔を歪めた。
「まだ安静にしとかなきゃ駄目ですよ。お腹の傷は3針縫ってるそうですから」
私は彼を興奮させないようにその場から声をかけた。普段どおりに声をかけてはいるけれど、心臓は今にも破裂してしまいそうだ。
…あの紅の瞳に見つめられると、何故かドキドキしてしまう…
「…此処は?」
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