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「此処はファルエリアのフェザーという街です。貴方はこの近くで血を流して倒れていたんですよ」
「お前は?」
「私はセシアといいます。
貴方が倒れている所にこのコに案内してもらったんですよ」
子猫はニャーンと泣いて彼の膝の上に乗り、すりすりと甘える様に体を擦りつけた。
それを見て、彼の表情が少し和らいだ気がした。
「そのコは貴方の猫ですか?」
「…違う」
「そうですか…。
でもそのコのお陰で助かったから、お礼を言わないとですよ。後少し発見が遅れてたら危なかったそうですよ」
私は会話を続けようと、必死に話題を探した。少しでも和らいだ顔を見せて欲しかったから。
でも返ってきた答えは予想外のものだった。
「何で助けた」
「…えっ?」
私は自分の耳を疑った。
「別に死んでも良かった。助けてくれなんて頼んでいない」
彼はとても冷たい目をしていた。どんな人生を歩んで来たのだろうと、こんな状況ながらも知りたいと思った。
「…一応礼を言っておく。世話になった。俺の銃を持ってるか?返してくれ」
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