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彼が立ち上がろうとしたので私は慌てて近付き、立ち上がろうとするのを手で制した。傷が痛かったのか、顔を歪めている。
「まだ駄目ですよ!お医者様は絶対安静だって言ってました!
この家には私しかいません。私も運ぶのを手伝ってくれた友人も、誰かに貴方の事を話したりしません!銃も大切に保管してます!
だから…だからせめて傷が治るまでは居て下さい!」
いつの間にか私の目には涙が浮かんでいた。涙を流さないように必死で堪える。
「…何でそこまで言うんだ。お前には全く関係の無い、寧ろ厄介な人間だろう?」
眉間に皺を寄せて不機嫌そうにしながらも、彼はベッドの上で大人しくなってくれた。その様子を見て、少しホッとした。
「…貴方の目の色に惹かれたんです」
「はっ?」
私の答えに彼は不思議そうな声をあげた。
「貴方の目の色が、私には血の色に見えたんです。私の罪の色に…」
彼は息を飲んだ様に思えた。
「…すいません、こんな話をして」
私は何故か申し訳ない気持ちになり俯いた。心配するように子猫が擦り寄ってきた。
「…る」
「えっ?」
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