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「此処にいる。傷が治るまでな」
彼のその言葉に、私は笑顔になった。
「有り難うございます!
あっ!お腹空いてますよね?ご飯にしましょう!何か身体に優しい物を作ってきますね!
…あの……お名前を教えてもらってもいいですか?」
「…紅(コウ)」
「紅さんですね。よろしくお願いします」
子猫がニャーンと泣いて、私を見上げている。
「あっ、ごめんね。お前もご飯だったね。
…お前ウチのコになる?」
子猫は嬉しそうに泣いた。
「じゃあ名前決めなきゃね。うーん…」
「…ジュエル」
「えっ?」
私が悩んでいると、紅さんの声がした。見てみると、「しまった!」って感じで口を抑えている。
私の視線に耐えられなくなったのか、渋々口を開いた。
「…その眼が、宝石みたいだから」
「良い名前ですね。じゃあ今日からお前はジュエルよ!
ジュエル、ご飯にしよう。おいで」
「ニャーン」
そうして私たちは部屋を後にした。
何故こんなにもあの人の一言一言に心が震えるのだろう?
それが分かるのは、まだ暫く後の話…
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