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「攻め行って、そのままソ連に進行しろってか?」
ケセセ…と、忌々しさに笑いが落ちる。
「ボケがっ!バルバロッサの弍の鉄を踏みたいのか!?」
Unternehmen Barbarossa───この大戦初期に敢行されたソ連奇襲攻撃作戦。
戦場を知らない上司の無茶苦茶な命令で、ルートがどんな目に遭って帰って来たか…っ──思い出しただけで怒りが沸く。
「それに、この地域はもうすぐ冬が来る。雪に埋もれて何ヵ月戦えと?」
「総統閣下のご命令です、バイルシュミット卿!」
「なら伝えろよレンデュリック。てめぇの大っ好きなナチ党総統殿によぉ」
俺が立ち上がるとレンデュリックが僅かに仰け反った。
自分の口の端が吊り上がるのが分かる。
レンデュリックの胸ぐらを掴むと、奴の喉が「ひっ…!」と鳴った。
「たかが政治屋が、俺様に命令すんじゃねぇ…ってなあ!」
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