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もう何もかも放り投げてしまいたい。現実から逃げ出してしまいたい。僕は手で顔を覆い隠し、嗚咽を漏らした。ただ一人の人間のために、どうしてこんなにも悩まなければならないのだろう。
彼と僕は親友だった。だが今はもう、そうではない。それだけの話だ。そんな風に割り切ることができたら、どれだけ楽になるだろう。いっそのこと、僕も親友のことが嫌いになってしまえばいい。向こうが僕のことを嫌うのなら、僕だけがそれにすがっていても仕方がない。僕自身も彼を憎めば、お互いに近づくこともない。これからは別々の道を進んで行けばいい。それが今の僕にとって、最良の判断だと思った。
体を起こして時計を見ると、下校の時刻になっていた。無意識に学校の様子を想像する。親友が級友たちに明るく別れを告げて、彼の家に向かって歩き始める。同時に、僕の家に向かって歩き始める。
緊張が走るのが抑えきれなかった。彼は今、僕について何かを思っているだろうか。心の中で僕の悪口を挙げているかもしれない。僕はもう一度横になり、体を丸めた。
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