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そうしていると、唐突に一つの疑問が思い浮かんだ。
親友は、あそこに僕が居合わせたことを知っているのだろうか。
彼は自分の気持ちを僕に隠している。彼が図書室であの話をしなければ、僕はそれに知ることはなかった。それに、これからも気付くことはなかっただろう。虚しいことだが、それは事実だ。僕があの会話を盗み聞きしたことを親友が知らなければ、彼はこれからもそのことを隠そうとするはずだ。
しかし、もしそうでないならば、どうだろうか。親友は僕に対してどう接するのだろう。今日のことを否定するだろうか。開き直って隠すことを止めるのだろうか。今まで長い間一緒にいたにもかかわらず、僕にはどちらとも言い切れる自信がなかった。僕が今まで見ていた親友は、自分の本心を取り繕う、仮の姿でしかなかったのだ。だから、僕は本当の彼を知らない。彼の気持ちは全くわからない。喉が締め付けられるように痛んだ。
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