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 果てのない砂漠に、一人で放り出されたような気分だった。どこへ向かえばいいのかも、何を見ればいいのかも分からない。頼るべきものもないまま歩き続けても、その先にはきっと同じ景色が続いている。僕は途方に暮れながら、それでもとにかく歩き続ける。そうすることでしか自分を確認することができない。  砂漠にはいずれ嵐がやってくるだろう。それがいつかは分からないが、必ずやってくる。僕は全身に小さな砂の粒を浴びながら、目と口を閉じ耳を塞ぐことしかできない。それをかき消すには僕の存在はあまりに小さく、僕にできるのは過ぎ去るのを待つことだけだ。後に残るのは傷だらけの僕だろう。全身にあらゆる痛みを負いながら、再び砂漠を歩き始める。行き着く先はどこにもなく、どこでもない。それは僕にも、恐らく親友にも分からない。  やがて日が暮れて夜が更け、僕はまたベッドの上で横になった。いつもならもう灯りを消している時間だ。だが今はとてもそうする気にはなれなかった。消したところで眠れはしないだろうし、それに消してしまえば暗闇に呑まれてしまいそうで怖かった。
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