あなたの隣で見上げた夜空

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■ ■ ■ 部屋の天井が空と同じくらい広いと感じた。 遼一は布団の上に寝転んでいた。 部屋の灯りは既に消え、隣では詩音がぐっすりと寝ている。 隣と言っても彼女はベッドで彼は敷き布団。 一緒の布団に入って寝ているわけではない。 なかなか寝つけない遼一は過去に来てからのことを整理して、それを携帯のメールに打ち保存した。 自分の携帯を見ると、詩音とのやり取りを思い出したのだった。 過去 この時代の学生は携帯を持ってはいないし、あっても現代のように小さくもない。 彼の携帯を見た詩音は携帯とは思わずに、正義の味方になるための道具……所謂『変身アイテム』かと彼に聞いたのだった。 何故その答えを導き出すんだ?と心の中で遼一はそう思ったが、話を混乱させないために適当に相づちを打ったのだった。 未来の詩音よりも純粋すぎだ、と改めて思う。 そんな彼女は今、ぐっすり寝ている。 その寝顔は穏やかなモノだった。 「良い夢……見てるんだろうな…」 思わず呟いた自分に遼一は苦笑した。 「おやすみ…詩音」 詩音の肩まで布団をかけてあげた遼一は自分の布団に入り眠った。 ---こうして 彼らにとって、決して忘れることの出来ない悠久の物語が始まりを告げた。
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