残された銀の音色~出会いは突然に~

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保健室に着くと 湊は保健教員の『天宮駆』に事情を話した。話を聞いた天宮はすぐに恋を見た。 心配そうに見守る湊に天宮は口を開いた。 「姫川は熱中症だ……」 そう言った天宮の表情は暗かった。彼の表情に湊は嫌な予感がした。 「……だがちょっと症状が重い。神代、今から俺は消防署へ連絡してくるから、そこのタオルを使って姫川の汗を拭いてやってくれ」 天宮は湊に指示すると、電話を取り、消防署へと連絡をすると救急車を手配した。 「恋ちゃん…もう大丈夫だよ……」 息が荒く苦しそうな恋の身体の汗を拭きながら湊はそう囁く。 それはまるで自分にも言い聞かせているようにも見える。 しばらくすると救急車がやって来た。恋はそのまま救急車に乗せられた。天宮は付き添い人として車内に入って行った。 その場に立つ湊は天宮に「神代、お前も乗れ!」と言われ、車内に乗った。 ---その後 恋は病院に着くと診察を受けた。 診察の結果、恋はしばらく入院することになった。 症状が重かったが後遺症とかはないらしい。 苦しそうだった恋も今はぐっすりと病室で寝ている。 穏やかな寝顔の恋を見て湊はやっと安堵の笑みを浮かべることが出来たのだった。
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