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相談
プルルルル…プルルルル…
『木村君、電話が鳴ってるよ?』
『ん?…、こんな時間に電話か』
時計は既に夜の9時30分を過ぎている、深夜に入る手前の時間帯だ、今日も相変わらず帰宅して1~2時間くらい過ぎた頃に霧島さんが現れ、来週の月曜日に実践予定の「惑星儀礼」について話をしていた、俺の「付与」の原型となる魔術式で、儀式としては短い分類に入る、初級魔術なのだから当然なのだけど、魔術としては基本故に強力な部類だ、俺や霧島さんみたいな半端な魔術使いでも、大なり小なり効果が現れる程に。
『っ…と、霧島さん、ちょっと待っててね』
俺は立ち上がって部屋を出た、そこは短い廊下で玄関のドアは目の前、そこの脇にある下駄箱の上に電話が置いてあり、今はやかましい音を上げて、早く受話器を取れと催促している。
『もしもし、木村です』
(翔か?俺だ、雲野)
『雲野?何こんな時間に…』
(悪いな、ちょっとどうしても聞きたい事があってよ)
『聞きたい事?』
(ああ、黒澤ちゃんの電話番号を聞きたいんだ)
それを聞いた俺は、思わず顔をひきつらせた。
『お前…こんな時間に電話してきたと思ったら…よりによって黒澤さんの電話番号だって?』
(事情があってな、相談したいんだ)
『事情ねぇ…なんか知らないが、とにかく、俺は黒澤さんの電話番号は知らないぞ』
(嘘!?だって黒澤ちゃんと友達なんだろ?)
『ああ』
…一応…
(なのになんで電話番号知らないんだよ)
『俺は黒澤さんに電話する必要が無いからな…霧島さんなら知ってるけど』
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