新春

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『なんか、木村君の部屋で作業するのになれちゃって;』 『ずっと俺の部屋で魔術の実践をしてきたらから、馴染むのは分かるけど、きちんと自分の「作業場」を作るように、これは基本的な事だからね』 『…分かったわ』 霧島さんは目の前に広げてある、パーチメントペーパーをまとめ、インクが入れてある瓶の蓋を閉めながら頷いた。 『じゃあ、描いた護符と魔術書は持って帰るね』 『ああ、しっかり読んで勉強して下さい…それが理解できたら、後は応用の域になる』 『応用?あたしが魔術を応用ですか?』 『魔術って系統分けされてはいるけど、それらは全てやり方が異なるだけで、行き着く先は同じだからな』 魔術で最も多いものは「恋愛」に関する呪詛である、またその魔術の種類も豊富で、世界規模で見た場合、それこそ何百種類も存在する…最も純粋に「魔術」と呼べるものじゃなく「おまじない」と呼ぶものまで含めてになるが…とにかく、それらの三分の一が、効力がある「本物」か「限りなく本物に近い」ものとして見ても、かなりの数になる、つまり、それだけの数の術を作り出しておきながら、全ては「恋愛」と言う、たった一つの目的を遂げる為に「結果」が集約されているのだ。
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