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始まり
…五日後…
『雲野…お前、なんかフラフラしてないか?』
その日の放課後、授業が終わり、帰宅するべく鞄に教科書やノートを乱雑に突っ込みながら、前の席に座る友人に声をかけた。
『当たり前だろ、全教科を勉強してたんだからな』
何か虚ろな声で返事をしてきた、なんか表情まで空虚感を漂わせている。
『それは…確かに頭がおかしくなるな;』
全教科を追試験だったな…、しかも進級がかかってるテストだから手は抜けない、これで落としたら留年確定なのだ。
『………じゃ、行ってくる』
『あ、…ああ』
雲野は立ち上がると、海の中で揺らめくワカメのような動きで教室を出て行った。
『かなりキてたな;同じ状況なら、俺もああなるだろうけど…』
…多分…
………………………………………………………………
俺は木村に挨拶をした後、追試に向かうべく教室を後にした…この高校はランクは低く、それだけに赤点となる水準も低いのだが、あまりに勉強しなさすぎたのが災いして、未だかつてない全教科赤点と言う状況になってしまった。
『ふぁ~…眠い』
何せこの5日間まともに寝ていない、最低合格ラインの三十点を取るべく勉強し、今日も徹夜に近い。
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