始まり

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少ししてからアイツを追っていった友達が戻ってきた。 『すまん緒方、逃がしちまった』 『逃げ足の早い野郎だな、くそ!』 『いや、助かったぜ、サンキューな』 友達に礼を言っていると、柚実が腕を強く引っ張った。 『兄さん、もう帰ろう?』 もう街を楽しく街を歩く雰囲気では無かった、仕方なくオレと柚実は友達と別れ、家に帰る事にした。 柚実は家に着くと、直ぐに自分の部屋に駆け込んで鍵を閉め、中に閉じこもってしまう…………………………………………………………………………… …それから一週間後、正月の朝に怒鳴りつける声が聞こえて、オレは素早くベットから起き上がりカーテンを開けた、すると窓から見える道には逃げるアイツと、追いかけていく親父が見えた。 『アイツ、正月から来やがったのか!』 オレも頭にきて、上着を羽織ってから急いで家を飛び出す。 『確か…こっちに行ったよな』 オレはアイツと親父が走り去っていっと思われる方に向かう、すると… ドンッ!!! 重く鈍い音が聞こえてきた、オレは音がした方へと急ぐ。 『親父!』 『真か…』 追いついたオレは声をかける、それに振り向いた親父は表情を強ばらせていた。 『何だったんだよ今の音は?』 『…………』 無言で親父が指を差す先を見ると、そこには血塗れのアイツが車道の真ん中に倒れていた。 親父に追いかけられていたアイツは、車が来るのも確認せずに車道を渡ろうと飛び出して、車に跳ねられたのだ、正月で人気も少ない、車だってポツポツと走っている程度なのに…それでも車に跳ねられるとは、なんて運の無い奴。
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