始まり

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柚実の様子がおかしくなるにつれ、両親は妹を精神病院に入れようか相談するようになった、オレは…オレは柚実をそんな所へ入院なんてさせたくない、けど幽霊なんて…、そりゃ頭ごなしに否定はしないけど、見たことの無いものを「はい、信じます」なんて言えない、だから素直には信じられない幽霊なんて…オレはそう思っていた。 けど…そんな考えは、間もなく否定された。 (来ないで!もう嫌ぁっ!) 『…………柚実…!?』 ある日の深夜、時間は既に0時を過ぎていて、そろそろ寝ようかと考え始めていた時だった、壁の向こうから柚実の悲鳴じみた声が聞こえてきた、オレはすぐさま部屋を出て、隣の部屋へと向かった。 『柚実!おい!』 カチャ… オレがドアを叩きながら、勢いで手をかけたドアノブが回りドアが開いた、今日は鍵が閉まってなかったのだ。 『柚実!入るぞ!』 悲鳴を上げるような状況だ、やむ終えずドアを開いて柚実の部屋へと入った時…オレは見た。 『兄さん!!』 柚実は入ってきたオレに向かって走り逃げてきた、それをオレは何とか受け止めつつも、部屋の中に「居る」…いや「在る」存在に目を離せなかった。 『バカな…』 なんとか絞り出せたオレの言葉は、今見たにも…見ているにも関わらず否定する台詞を紡ぐ。 (…………………) そこには半透明のアイツが立っていた、事件現場ではうつ伏せ寝に倒れていたので、良く分からなかったが、正面から見たアイツは…幽霊だけど血まみれで顔のあちこちの皮膚が剥がれて、ブラブラとぶら下がっていた。
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