新春

2/11
前へ
/112ページ
次へ
懸命な人なら「日頃から勉強しておけ」と言うだろう、だが、魔術の実践と、弟子の霧島さんへの指導もあり、なかなか勉強には手がつかない……………いや、はっきり言って全く勉強する気はないんだが。 『くそぉ、俺は全教科を追試だ!』 『全教科!?』 それには驚かされた、勉強しない俺でもスレスレながら自力で回避した教科はある、それを全て落としたとは…雲野は俺より頭は良い、だが極めた域の勉強不足が祟ったようだ。 『何とか進級できたら、面倒でも来年からは「宿題」をするんだな』 『うぬぅぅぅぅ…』 これで追試まで落としたら雲野は留年だ、単位までギリギリだから休む余裕も無い、まさに地獄。 ……………………………………………………………………………………………… 『雲野さん、留年なの!?』 学校が終わっていつも通りに帰宅し、これまた同じように家に訪ねてきた霧島さんに、進級が出来るかどうかのテスト結果の話をした。 『いや、まだ追試があるからチャンスはあるけど、厳しいだろうな…勉強漬けで頭が焼け焦げなきゃいいけど』 『そっか…何とか進級してもらいたいね』 『まあね、学校じゃ数少ない友人だし、あいつが居なくなるとクラスで会話する相手が居なくなる』
/112ページ

最初のコメントを投稿しよう!

75人が本棚に入れています
本棚に追加