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(いや、霧島ちゃんはお前の彼女候補だから電話番号を知っていて当然だろ?)
『は?……いや…、霧島さんなら、黒澤さんの電話番号を知ってるって意味だぞ?…何言ってんだよ、お前は…』
(ああ!そうか…スマンスマン、思い切り聞き違いしたぜ)
『あのなぁ…』
『木村君、私がどうかした?』
霧島さんがいつの間にか部屋のドアを開けて、こちらを見ている。
『いや、何でもない』
(なんだ!今の声は霧島ちゃんか?おいおい、こんな時間に木村の家に遊びに来てるのかよ~!いやいや…それは悪かった、2人ラブラブな時間を邪魔しちまって…)
『雲野、電話を切られたいか?』
俺は全く抑揚の無い棒読みで、そう言った。
(いや!スマン!冗談だよ、木村ったら直ぐにマジになるんだから…)
『なら、そう言う悪ふざけは止めてくれ;…で、黒澤さんの電話番号だったな?』
(そうそう、悪いけど霧島ちゃんに聞いてみてくれないか?)
受話器から顔を離して、後ろ側…つまり俺の部屋の入り口に立つ霧島さんへと振り向いて、黒澤さんの電話番号を雲野が知りたがっていると伝えた。
『雲野さんが?なんで黒澤さんに電話を?』
『相談らしいけど』
『相談って…どんな?』
『いや、聞いてない』
『うーん…雲野さんは知らない人じゃないけど、ちょっと…』
霧島さんが躊躇うのは当然だ、黒澤さん本人の承諾も無しに、電話番号は教えられない。
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