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俺は再び受話器を顔に当てて、雲野に話かける。
『雲野』
(おう、どうだった?)
『お前、怪しいから教えたくないって』
(ぶはっ;怪しい!?俺って霧島ちゃんに怪しまれてたのかよ!)
『それは冗談だ、が、本人の承諾無しに教えられないって意味だろう』
後ろで俺の言葉を聞いている筈の霧島さんからは、何のツッコミも無いのが、どこか引っかかるものがあるけど、俺は雲野にそう伝えた。
(じ…冗談か…本当なら少しばかりショックだった所だぜ、…とまあ、それは冗談だから良しとして、電話番号は当然か…)
『悪いけどな』
(いや、仕方ないさ、…うーん、どうやって連絡つけようか…)
『お前、そんなに黒澤さんに連絡したいのかい?』
(相談したい事があるんだ)
『んー…その内容を霧島さんが、黒澤さんに伝えるって手もあると思うが?』
(そうなんだけど…なかなか複雑な事情でな、できれば本人に直接話がしたい)
『一応聞くけど…ナンパとかじゃないよね?』
(ああ、違うぜ、真面目な話だ)
どうも雲野が真面目な話と言っても、次の瞬間には「黒澤ちゃんと、真剣にお付き合いしたいと思って…」とか、ふざけた台詞を言うような気がするのだが、声色からして本気を感じる…ような気がした。
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