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『それは…大抵は引くよね』
『確かに大概の連中は引いたな』
やり方に多少問題はある気がするが、馬鹿な連中から身を守る為なのだ…虐められていても誰も助けてはくれないのが普通である、自分の身は自分で守らなくてはならない。
俺は「よっこらしょっ」と年寄りじみた言葉を言いつつ、腰を上げて棚からバタフライナイフを掴み取った、そうして二つに分かれているグリップの片方を持ち、クルクルと回して刃を展開した状態にする。
カシャ、カシャ、パチン!
『それ久しぶりに見たけど、やっぱり良いな~…ねえ、教えて?』
霧島さんは念仏を唱えるよう両手を合わせ、右目でウインクしながらお願いしてくる。
『霧島さんには、ナイフ技を教えたでしょ?バタフライナイフの技なんて「曲芸」みたいなもんだよ?』
霧島さんには魔術だけでなく、ナイフ技も教えてある…とは言え、所詮は俺の自己流&空手の動きを織り交ぜたものである、正当なナイフ技ではない、きちんとした技に比べたら児戯に等しい。
『曲芸でも良いよ?それにしたって、片手で開けるんだから便利だし』
『まあ…便利なのは間違い無い』
俺は再びバタフライナイフを回して、今度は二つのグリップに刃が挟まれて収まった状態に戻す。
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