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『まあ、それはとにかくとして…』
俺はバタフライナイフを棚に戻してから、霧島さんに言葉をかける。
『その作業を続けるべし!』
ビシッと人差し指を、霧島さんの目の前にあるテーブルに向ける。
『うう…;』
そこには作成途中の護符と、魔法陣が描かれた「ソロモン王の鍵」なる魔術書が開かれて置いてある。
霧島さんは「浸透」「気刃」の魔術を素人ながら、幾らかは習得している、…よって新しい魔術を教えようと思い、魔法陣を描き、霊的な力を充填するバッテリーとも言える「護符」の作成をやらせていた。
『でもこれ、描くの難しいよ?』
『そりゃ魔法陣ですからね』
霧島さんに描かせているのは「七惑星の護符」と呼ばれている中の一つ「月の4の護符」で、「邪な誘惑を退ける」とある、護符魔術は基本的なものでありながら、魔術としても強力な分野に入るので、初級者でも上手く作れば効果を発揮する、もっとも聖別が出来たらの話だが。
『なんか、円の外周のアルファベットが細かい;』
『だな』
確かに「月の4の護符」の外周に書くのは、他の護符よりも細かいアルファベットで、わりと大きめなヘブライ語とは異なり、ちまちまとしたもの…霧島さんが朽ち果てかけるのは分かる。
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