新春

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しかし、それは正面の的に対して真っ直ぐ飛ばず、山なりに矢を飛ばしてしまったが、結果的には的に命中した…と言えるので、まだ護符の効力が発揮して成功したと魔術師自身も思える。 だがアミュレットの難しい所は其処ではない、例えば魔術師に悪影響を及ぼす人間が2人居たとする、その中の1人…Aはバイト先の同僚で、比較的に顔を合わせる機会も多い、もう1人…Bはバイト先にちょくちょく来店する客、どちらも魔術師にとっては嫌いな相手である、そして魔術師側としては、同僚も客も嫌いだが、顔を合わせる機会が多いバイト先の同僚を優先して、護符魔術のアミュレットを用いて、バイトを辞めるように魔術を施した…結果、バイト先の同僚はしぶとく職場に残っているが、Bの質の悪い客の方が店に来なくなったと言う「ズレた結果」に至った…そう、「魔術師が嫌いな相手」は2人居た…そんな場合、目的のAでなく、Bが来なくなると言う…「魔術師が嫌いな相手」である事には確かに間違いは無い、つまりは「目的の範疇内の結果」なのだ。 こうした「ズレ」がアミュレットには多く、使った魔術師自身、護符魔術が効果を発揮したと言う自覚が無いままで終わるケースもある。タリスマンは分かり易い、成功か失敗かの二つである、アミュレットのように「横道」には逸れない、あくまでも「目的」に影響を及ぼすものだ、が、それだけに「飛ぶ矢」が的に「届くか」どうかは魔術師の技量に左右される。
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