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十年振りに故郷の駅に降り立ちました。あの時と同じように小雨が降っていた。
さみしさと、懐かしさと、そしてほんのわずかな希望を持って公衆電話に向かいました。
受話器越しに聞こえる懐かしい貴方の声…
そして、傘もささずに走って来た貴方を見て、生まれて初めて私は泣いた。
笑顔のまま、私の瞼をそっと押さえた、貴方の薬指にはキラリと輝く指輪があった。
私が今まで自由に生きたように、貴方にも貴方の人生があった。
あの頃と変わらない貴方の笑顔の奥の悲しみにその時初めて気が付いた。
小さな私の肩にに降り注ぐ雨はとてつもなく冷たかった、そう、あの頃の私の心のように…
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