男と女に戻って

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遠くで聞こえていた 潮騒の音が 段々と近づいてきて そして耳元まで来たとき ふと目覚めると そこはホテルの午後のテラス 私は独り爪を切る マニキュアを忘れた 爪を切る そういえば誰かが言っていた 一週間分の爪を切るという事は一週間分の思い出を 切り捨てていくということ あの頃の私は 赤いマニキュアが自慢で その爪を切る時でさえ 人知れぬ幸福感に 浸っていた あの頃の私は 若さも美しさも そして時間さえも 永遠であると信じていた そして今は潮騒の音も 風の匂いも ホテルのロビーの輝きも そしてテラスの眩しさも 何も変わっていない ただひとつ違っているのは 私はもう若くはない 私は独り爪を切る マニキュアを忘れた爪を切る ~誰の詩なのかは分かりませんが、若かった頃の華やかだった自分を、あの時と同じ場所で振り返える…そして…
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