~逃走0~ プロローグ

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雨が降りしきる3月30日の真夜中。 どこにでもあるアパートの、どこにでもある一室。 その中から不気味な笑い声が夜空に響いた。 「くっくっく………フハハハhahaha!!!」 自室のベッドの上で高笑いする男の名は笹原悠斗(ささはら ゆうと)。 俺だった。 我ながらキモい笑い声を上げてるが、別に気が狂ったとか女が出来た、とかそんなんじゃない。 ……あ、いや、彼女は欲しいよ? 出来た事ないからね俺? そういう事じゃなくて 高校入学の為に引っ越しが完了し、やっとこさ新たな生活がおくれるから嬉しいんだ。 それは何故か? 答えは俺のツラを見れば分かる。 え?何ソレ?物理的に吊ってんの? ってぐらいに吊り上がった目尻に、笑うと、さながら三日月の如く頬を裂く口。 さらに、目元が前髪によって陰り、眉の間に常にシワがよっているというオプション付きだ。 しかもしかも、髪はボッサボサの悪魔みたいなくせ毛で、目元にはペンで書いたみたいに真っ黒な隈が。 結論を言おう。 俺の顔面は凄まじく悪人面らしい。 そりゃもう鏡見た本人が引いちゃうぐらい。
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