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互いに威嚇しあっていた不良達だったが……
「しゃらくせぇ!!!全員やっちまえ!!!」
という……誰だっけ?佐藤さん?の声により一斉に殴り合いに発展。
そもそもの発端である俺の事など眼中にないようだった。
そして、人々の悲鳴が漏れる阿鼻叫喚の中、一人、また一人と倒れていく不良達の中で最後まで立っていたのは……
俺だった。
……いや、別に凄い事とかはしてない。
ただ、俺はいくつもの不良集団の中で、唯一共通している、ターゲットという存在であって、
一つの集団が俺を狙うと、他の集団がそれを邪魔し、結果的に俺は助かる訳で、
さらにその結果、俺は無傷でいる訳で、しかも不良は全員ノビている訳で。
これを一般人が見たら、
「み、見ろアレ……」
「凄い…あの人数をまさか一人で…?」
「あ!あの倒れてる奴、この街のボスの田中だぞ!!!」
「あいつは隣町の奴だ!!!」
「ま、まさか、この辺り一帯の不良を全員叩いたっていうのか、あいつ……」
「……た、確かに。そんな事しそうな、人間離れした顔してる……」
……とまぁ、こうなる訳で。
「え?……は?いや、ちょっと待て、俺は何もしてな――って何故避ける!!?
待てよおい……話を…
話をきいてくれぇぇぇぇぇ!!!!!!」
―――こうして俺はツラの悪さと、100人以上の不良を相手に無傷で勝利した実績(偽)から、喧嘩無敗の不良 という、全くいらない称号を手に入れてしまった。
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