《届けられた物》

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三人はすぐに部屋を割り当てられた。 奈美は女性の自衛官に案内され部屋に入る。 部屋は六畳程で窓が一つ、その脇に二段ベッドが置いてあり更にベッドの脇に机と椅子が置いてある。 「ハァ~。」 奈美は二段ベッドの下の段に身を投げ出してため息を付き両手で顔を押さえた。 『コンコン!』 ドアを叩く音に奈美は身体を起こし立ち上がった。 「入ってもいいか?」 聡の声にうなだれていた奈美の顔に少し明るさが戻る。 「うん、いいよ。」 『ガチャッ。』 奈美の返事を確認したかの様にドアが開いて聡が入って来た。 「何処も造りは同じなんだなぁ~。軍隊の宿舎ってこんなもんかぁ?」 聡は周りをキョロキョロしながら入って来る。 奈美はベッドのパイプにもたれる様に脇に立つ。 聡は先程まで奈美が身を投げ出していたベッドに腰を下ろした。 「聡の所も同じなの?」 「あぁ、でも俺は天照さんと一緒だ。」 頭をかきながら残念そうな顔をする。 「アタシは一人だけど… いいんだか悪いんだか、夜寂しくて眠れなさそう。」 少し俯き、不満げな顔をした。 「一緒に寝てやろうか?」 「バ~カ。」
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